冷夏とは？その定義と特徴を解説

冷夏とは？その定義と特徴を解説

冷夏の定義

冷夏とは、平年よりも気温が低い夏のことです。冷夏の定義は、気象庁によって定められており、日本全国の平均気温が、平年の平均気温よりも1℃以上低い場合を冷夏と定義しています。また、冷夏は、特定の地域に限らず、日本全国で気温が低い場合を指します。冷夏の原因は、様々な要因が考えられますが、主に以下の3つの要因が挙げられます。

1つ目は、太平洋高気圧の位置です。冷夏の年は、太平洋高気圧が日本付近に張り出しにくい傾向にあります。その結果、日本付近に冷たい空気が流れ込みやすくなり、気温が低くなります。

2つ目は、エルニーニョ現象です。エルニーニョ現象とは、太平洋東部海域の水温が平年より高くなる現象です。エルニーニョ現象が発生すると、日本付近に暖かく湿った空気が流れ込みやすくなり、気温が高くなります。しかし、冷夏の年は、エルニーニョ現象が発生しないか、発生しても弱い傾向にあります。

3つ目は、偏西風の蛇行です。偏西風とは、中緯度地域を西から東に吹く強い風のことです。冷夏の年は、偏西風が蛇行して、日本付近に冷たい空気を運んでくることが多いです。

冷夏の原因

冷夏の原因

冷夏の原因は様々ありますが、その主な要因の一つは偏西風の蛇行です。偏西風とは、中緯度30度～60度の地域を吹く強い西風のことです。偏西風が蛇行すると、日本の上空に冷たい空気が流れ込みやすくなり、夏でも気温が低くなって冷夏となります。

冷夏のもう一つの原因は、海洋の表面温度（SST）の上昇です。海洋の表面温度が上昇すると、海水が蒸発して水蒸 気となり、大気中に放出されます。水蒸気は、温室効果ガスの一種であり、大気中の熱を閉じ込め、気温の上昇につながります。しかし、海洋の表面温度が上昇しすぎると、水蒸気の大気が飽和状態となり、雨や雪として降りやすくなります。このため、冷夏となることがあります。

そのほかに、火山噴火による硫黄酸化物（SOx）や窒素酸化物（NOx）の放出も、冷夏を引き起こす原因の一つとして挙げられます。SOxやNOxは大気中に放出されると、硫酸塩エアロゾルや硝酸塩エアロゾルなどのエアロゾルを形成します。エアロゾルは、太陽光を反射して宇宙に放出する働きがあり、気温の上昇を抑制します。そのため、火山活動が活発な年は、冷夏となることが多いのです。

冷夏の影響

冷夏の影響

冷夏は、農作物に大きな影響を与えます。夏の気温が低すぎると、作物の生育が遅れたり、収穫量が減ったりします。特に、お米やとうもろこし、スイカなどの夏野菜は、冷夏の影響を受けやすいです。また、果樹の収穫量も減少する可能性があります。

冷夏は、観光業にも影響を与えます。夏の観光地は、冷夏になると旅行客が減少し、観光収入が減少する可能性があります。特に、海水浴場や高原リゾートなどの観光地は、冷夏の影響を受けやすいです。

冷夏は、経済にも影響を与えます。冷夏になると、農作物の収穫量が減少したり、観光収入が減少したりすることで、経済が停滞する可能性があります。特に、農業や観光業に依存している地域は、冷夏の影響を受けやすいです。

また、冷夏は、人体にも影響を与える可能性があります。夏の気温が低すぎると、体が冷えて体調を崩す人が増える可能性があります。特に、高齢者や子供は、冷夏の影響を受けやすいです。そのため、冷夏が予想される年は、体調管理に注意することが大切です。

冷夏への対策

対策1暑さ対策を万全に
冷夏とはいえ、真夏に突然気温が上昇することもあります。特に高齢者や子供は暑さに弱いため、熱中症対策を万全にしておきましょう。エアコンや扇風機などの家電を適切に活用し、室内を涼しく保つようにしましょう。また、水分をしっかりと補給することも大切です。

対策2服装に注意する
冷夏でも、朝晩は気温が下がることも多いです。そのため、服装には注意が必要です。暑い日には薄着を心がけ、朝晩には羽織るものを持ったり、厚手の服を着たりして、体温調節をしましょう。また、冷房の効いた場所に出入りする際は、カーディガンやストールなどを持ち歩くと便利です。

対策3体調管理を徹底する
冷夏でも、体調を崩しやすい人は少なくありません。特に、気温の乱高下が激しい時期は、体調を崩しやすくなります。そのため、日頃から体調管理を徹底することが大切です。規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとり、バランスのとれた食事を心がけましょう。また、適度な運動をして、体力をつけるとともに、免疫力を高めることも大切です。

冷夏の最新情報

冷夏の最新情報

冷夏の流行は、21世紀に入ってから、多くの地域で観測されています。北半球の大部分で、過去10年間で最も涼しい夏が記録されており、冷夏が通常の夏よりも一般的になりつつあることを示唆しています。日本の場合、2011年と2016年は、全国的に平年よりも気温が低く、冷夏となりました。2011年は、7月の全国平均気温が23.9度と、平年よりも0.7度低く、2016年は、7月の全国平均気温が23.9度と、平年よりも0.6度低くなりました。これらの冷夏は、農業生産に影響を与え、作物の収穫量が減少したり、品質が低下したりするなどの被害が発生しました。また、冷夏は、電力需要の増加や、健康への影響など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

近年では、2023年も冷夏の傾向が続いています。7月の全国平均気温は24.2度と、平年よりも0.3度低くなりました。特に、北海道や東北地方では、平年よりも1度以上気温が低く、冷夏が顕著でした。この冷夏は、農業生産に影響を与え、作物の収穫量が減少したり、品質が低下したりするなどの被害が発生しています。また、冷夏は、電力需要の増加や、健康への影響など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。